抄録
右視野視力障害で発症した12歳の男児のトルコ鞍内軟骨腫の症例を報告する。頭部単純写および頭部CTでトルコ鞍内を充満する石灰化をともなった腫瘤、トルコ鞍の不整な変形、鞍背の肥厚性変化が認められ、MRIで腫瘍の鞍内から右海綿静脈洞や上方への進展が明らかであった。術前鑑別診断は困難であり、術後の病理診断によって軟骨腫と判明した。トルコ鞍内軟骨腫の報告は少なく、その全摘出は困難であるといわれる。しかし視交叉または視神経への圧迫を解除することは極めて重要であり、たとえ部分摘出であっても効果を発揮する。残存腫瘍に対して経時的なMRI・CT、視野視力検査での追跡が必要であり、下垂体機能への補充療法を要することも多い。