日本食品科学工学会誌
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技術論文
ソーセージ等の市販ゲル食品のクリープ解析
添田 孝彦笠置 高正外園 亜紀子
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2005 年 52 巻 11 号 p. 517-521

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抄録

クリープ試験による瞬間弾性率E0と定常粘性率のηNの相関図から各種食肉ゲル食品間の物性を相対的に把握することが可能であった. 畜肉ソーセージを加熱した場合, いずれの試料においても加熱により, ηNは変化しないが, E0は低下するという傾向が認められた. 官能評価パラメータとクリープパラメータ特性の間の相関をみると, 未加熱ソーセージにおいては食感の好ましさと遅延弾性率E2との間で比較的高い相関 (r=0.619) を有した. 一方, 加熱ソーセージにおいては食感の好ましさ, 硬さ, 弾力性, ジューシー感および繊維感のいづれの特性値とも遅延時間τ1, τ2との間での相関が非常に高かった (r=0.834~0.998).
青木は感覚評価の客観的表現において多面的, 統合的な人間の感覚を予測する手段や統一的な法則を見出す可能性は今のところ難しいが, 当面の目標はゲル状食品, スポンジ状食品および多孔質食品のような共通的な性状を有する食品グループごとに感覚評価と客観的な測定値との統一的な相関関係を求めることであると指摘している. 本報では, 青木の述べる食品グループとしてはゲル状食品に属する食肉ゲル食品を用いて物性を評価した結果, クリープ解析による機器測定パラメータE0およびηNと感覚評点とは相関が高いことを示している. すなわち, 口の中で切断する前に試料が変形する度合をcohesiveness, 試料をかみ切るために要する力の量をhardnessと定義されているが, 本報でのクリープ解析から得られた弾性率および粘性率はこのcohesivenessやhardnessを包含した性質を表現する一つの手段であると考える.

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© 2005 日本食品科学工学会
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