日本食品科学工学会誌
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早期公開論文
早期公開論文の11件中1~11を表示しています
  • 和田 浩二
    原稿種別: 学会賞総説
    論文ID: NSKKK-D-24-00015
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/06
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    findings focused on non-centrifugal cane sugar, shiikuwasha (Citrus depressa), sponge gourd (Luffa cylindrica), and their processed products

  • 古川 那由太
    原稿種別: 報文
    論文ID: NSKKK-D-24-00007
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/03
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    Saccharomyces cerevisiaeは古くから人類の食生活を支えてきた重要な酵母だが, 市販されているS. cerevisiaeは多様性に乏しく, 種類によって食感や風味の違いが生じにくい. 一方, 自然界から単離した酵母は市販酵母とは異なる特性を有しているため, 酵母を使用した食品は既存の製品との差別化が容易になる. そこで本研究では, 鹿児島県のブランド酵母を開発するために, 鹿児島県立短期大学構内で酵母を単離してその産業的価値を明らかにすることを目的にした. 単離した3株の酵母をシークエンス解析した結果, 2株がS. cerevisiae (Sc-KPC1およびSc-KPC2), 1株がLachancea fermentati (Lf-KPC1)であることが明らかになった. 糖資化性試験を行なった結果, Sc-KPC1とSc-KPC2はマルトース存在下で有意な増殖を見せなかったが, Lf-KPC1は幅広い糖に資化性を示した. 糖含有量が異なる3種類のパン生地で発酵試験を実施した結果, Sc-KPC1とSc-KPC2はともに市販酵母と比べて同等以下の発酵速度を示したが, Lf-KPC1は同等以上の発酵速度を示した. 低糖生地を発酵後に1週間冷凍してから発酵試験を実施した結果, 全ての酵母は市販酵母と比べて発酵速度が速かった. Lf-KPC1を高糖液体培地で培養したところ, 市販酵母Cy1と比べて増殖速度が遅く, COやエタノールの産生量は低かった. Lf-KPC1の培養液中には高濃度の乳酸が存在したことから, Lf-KPC1はアルコール発酵と乳酸発酵を実行することが示された. Lf-KPC1とCy1を用いて製作したパンの官能評価試験を実施した結果, 「外観(色)」, 「香り」, 「味(甘さ)」, 「やわらかさ」, 「総合評価」では有意な差が見られなかったが, 「しっとりさ」についてはLf-KPC1の方が有意に高かった. 以上のことからLf-KPC1は優れた発酵特性を有しており, 市販酵母と同等以上の産業的価値があると言える.

  • 鮫島 陽人
    原稿種別: 地域食品研究のエクセレンス
    論文ID: NSKKK-D-24-00009
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/02
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    国内産カボチャの端境期である冬期にカボチャを出荷することを目的に,カボチャの貯蔵中に生じる果肉軟化を抑制するための貯蔵技術の開発に取り組んだ.果肉軟化の抑制には,近赤外分析を用いた収穫直後の乾物率による選別が有効であった.この方法によって,選別した乾物率30 %(w/w)以上の果実を10 ℃で貯蔵すると,2か月後でも粉質感を保持することができた.また,高粉質系の品種を用いた10 ℃付近での貯蔵により,乾物率の選別を行うことなく,粉質感を2か月以上保持することができた.

  • 片桐 実菜
    原稿種別: 奨励賞総説
    論文ID: NSKKK-D-23-00106
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/03/11
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    本総説では, 小麦粉及び和歌山県内の地域農産物を対象に, それらの食材に含まれる成分の特徴を調べるとともに, それらの加工工程中あるいは貯蔵期間中に起こる物理化学的な現象を解析することにより, これらをもとにした加工食品の品質向上やその加工工程の効率化を目指した. 小麦については, 第一に, 穀粒登熟過程でのグルテンタンパク質をコードする遺伝子の発現を解析した. 次に, ドウ及びバッターの物性に対する非デンプン性多糖と内在性酵素の関わりについて検証した. 最後に, 日本の伝統的な小麦加工品の一例として, 素麺の物性の経時変化について検証した. また, 和歌山県農産物の代表例として, 梅ジャムの物性に対する定温予備加熱の影響を調査した.

  • 船見 孝博, 中馬 誠, 石原 清香, 神山 かおる, 小野 高裕, 堀 一浩, 西成 勝好
    原稿種別: 技術賞総説
    論文ID: NSKKK-D-24-00002
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/27
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    This article outlines the outputs from a series of our research activities on food texture studies. This includes mechanical and physiological approaches to texture quantification and their applications to product design, which aims to meet the increased demand for foods/beverages that are palatable as well as safe for consumption. As a result of tremendous efforts and supports, we have published approx. 40 research papers, including original papers and reviews, since 2011. This can contribute to novel academic insights into the mechanism and behavior of food oral processing in humans and serve as a practical tool for industry to facilitate inter-company and international collaborations to produce qualified and standardized products.

  • 滝沢 陸, 小山 翔大, 辻井 良政, 半田 明弘
    原稿種別: 報文
    論文ID: NSKKK-D-23-00104
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/26
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    本研究では,予備加熱に続く本加熱を利用した二段階加熱法による卵白の加熱ゲル物性制御について検討した.66 ℃での予備加熱により調製した二段階加熱ゲルにおいて対照と比較して破断荷重および破断ひずみが大きく繊維状の微細構造が認められた.一方,74 ℃での予備加熱により調製した二段階加熱ゲルにおいて対照と比較して破断荷重および破断ひずみが小さく,空隙が多い不均質な微細構造が認められた.74 ℃での予備加熱により調製した二段階加熱ゲルは加熱(80 ℃,24 h)や3週間程度の酸性調味液への浸漬(21 d)による硬化に対して一定の抑制効果を示した.予備加熱時のタンパク質の熱変性挙動を分析し,物性制御の機構を解析したところ,66 ℃での予備加熱によりOVTおよびLYZがSS結合を主とした凝集体を形成したが,大半のOVAは未変性のまま維持された.したがって,本加熱にてOVA同士の結合が生じ,繊維状のネットワークを主体とした,破断荷重および破断ひずみが大きいゲルが形成されたものと推察された.一方,74 ℃での予備加熱により,OVTおよびLYZ のSS結合を主とした凝集に加えて,大半のOVAが微変性条件にて凝集したことが明らかになった.したがって,予備加熱にてすでに疎なネットワークが形成され,残存する OVA量が少なく本加熱がゲルネットワークに及ぼす影響は小さいため,分子間相互作用の強化がゲルの硬さに反映されにくいと考えられる.このように,疎なネットワークにより,二段階加熱後に破断荷重が小さくなり,長時間加熱および酸性調味液浸漬に供してもゲルが硬化しにくくなったと推察された.以上,予備加熱により各タンパク質の変性および凝集履歴を変化させることで,本加熱により調製したゲルの物性を制御できることが示された.

  • 本田 洋之, 小原 洸瑠, 川村 優香, 松塚 祐伍, 阿部 尚人
    原稿種別: 報告
    論文ID: NSKKK-D-23-00101
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/22
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    日本の大豆発酵食品の一つに“ごど”がある. 本研究では, ごど保存時の温度が品質に与える影響を明らかにするために, 微生物学的な評価を行った. 25 ℃で保存した試料からはシンナー臭が発生し, 試料表面に白色の膜が表出した. この試料からはBacillus subtilis, および産膜酵母Wickerhamomyces anomalusが分離された. 分離された酵母株を添加したごどでは, 25 ℃で保存中にシンナー臭および産膜が再現された. 本菌株の増殖は, 低温では抑制されたが, NaClによる抑制は認められなかった. 以上の結果より, W. anomalusがそれら変質の原因であり, ごどの保存は低温で行う必要があることが示唆された.

  • 成澤 朋之, 江原 雅人, 原田 雅典, 海野 まりえ, 金子 雅明, 仲島 日出男
    原稿種別: 報文
    論文ID: NSKKK-D-23-00102
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/15
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    高灰分粉を発酵種の継代試料として活用することで,低コストで従来のパンとの風味差別化を図ることが可能になると考えられる.本研究では高灰分粉発酵種の使用による国産小麦を原料としたパンの呈味・香気成分の変化を確認した.呈味成分分析と揮発性成分分析の結果,共通して高灰分粉発酵種添加割合が2.5および5 %のパン試料と小麦粉発酵種添加割合が10 %および20 %のパン試料が同様の傾向を示した.発酵種添加割合の増加と共に,呈味成分分析結果では乳酸やアミノ酸含有量の増加が,揮発性成分分析結果からは有機酸類やアルデヒド類の面積値の増加が確認された.一方,メイラード反応生成物であるピラジン類は発酵種添加割合の増加と共に面積値が減少した.官能評価において,発酵種無添加試料では「甘味」「塩味」などの用語が選定され,高灰分粉発酵種20 %添加試料では「酸味」「えぐみ」「焦げ臭」などが選定された.官能評価の結果,小麦粉発酵種10 %添加試料は高灰分粉発酵種2.5 %添加試料および5 %添加試料と同程度,また小麦粉発酵種20 %添加試料は高灰分粉発酵種5%添加試料と10 %添加試料の中間程度の結果となった.これらの結果から,高灰分粉発酵種は小麦粉発酵種と比較して,少量の添加でも呈味成分や揮発性成分の増強効果が高いことが確認された.

  • 杉山 妙, 村野 賢博, 土屋 欣也, 佐藤 史明
    原稿種別: 報告
    論文ID: NSKKK-D-23-00089
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/05
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    食感知覚における“音”の重要性を示すため,自作装置を用いてポテトチップス咀嚼中の骨導音をヘッドホンから聴覚フィードバックさせながら,食感官能評価を実施した.開封直後の新鮮なポテトチップスにおいて,総じて呈示音量に応じてクリスプネスの知覚が増強されることが確認でき,既報と一致した.さらに,吸湿したポテトチップスにおいても同様の結果が得られ,咀嚼音の増強が食感劣化を補完する効果を持つことも示唆された.

  • 折笠 貴寛, 山部 裕貴, 小出 章二
    原稿種別: 技術論文
    論文ID: NSKKK-D-23-00095
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/01/31
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    異なるブランチング処理方法(HW,ST,SHS)で製造されたニンジンジュースを対象として,嗜好型官能評価手法の1つであるコンジョイント分析を適用することで,消費者の嗜好特性を評価した.その結果を用い,嗜好特性を考慮したニンジンジュースの品質評価モデルの構築を試みた.その結果,嗜好特性を考慮しないQIと嗜好特性を考慮したQI’の間には結果の解釈に違いが生じた.嗜好特性を考慮した単一指標による品質評価手法を実際の食品加工操作に展開することにより,消費者の嗜好特性を反映した商品開発が期待される.また,コンジョイント分析では今回用いた栄養成分や色彩以外にも消費者の嗜好度を左右する製品の品質,例えば,産地,価格およびテクスチャーを用いて重要度を算出することによって,多角的な視点から製品の価値を定量化することも可能となると考えられ,今後の研究の進展が望まれる.

  • 神山 紀子, 芦田 かなえ
    原稿種別: 研究ノート
    論文ID: NSKKK-D-23-00091
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/01/23
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    主食の栄養バランスを改善し生活習慣病を予防するため,玄米ともち性大麦を美味しく混合炊飯する加水条件を検討した.「ゆきむつみ」玄米と「キラリモチ」丸麦を同時に30 ℃で3時間浸漬し吸水させ混合炊飯すると,それぞれを単独で炊飯した場合に比べ炊飯玄米粒の水分が低く,テクスチャーがかたくなり,炊飯丸麦粒の水分が高くなった.吸水速度が遅い「ゆきむつみ」玄米を30 ℃で2時間浸漬した後に「キラリモチ」丸麦を加えてさらに1時間浸漬する時差吸水後に混合炊飯すると,玄米と丸麦ともに炊飯粒の水分とかたさは単独炊飯した時の数値に近くなり,玄米のテクスチャーが軟らかくなり食味を改善することができた.

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