典型的な動物性食品であるとんこつラーメンスープと, その代替である植物性のとんこつ風ラーメンスープを試料として, 共通した評価項目を用いて官能評価を行った. 得られたデータをもとに「動物性食品らしさ」の要因を検討した. (1) 自由記述式の官能評価によって, 33試料から評価用語を収集した. 集計・解析・討議により, 33項目の評価項目を決定した. (2) 分析型官能評価によって代表12試料の官能特性を定量化した. 試料は選定した33の官能特性を全て有していることが示され, 動物性・植物性試料の特徴を共通した評価項目によって表現可能であると示唆された. 主成分分析より, 第1主成分が動物性・植物性試料の特徴を反映した軸, 第2主成分が香味野菜に由来する官能特性を表す軸, 第3主成分が基本味の軸, 第4主成分には乳化や野菜, 野菜に関する官能特性が関連すると解釈した. 第2主成分から第4主成分については, 動物性, 植物性を問わない官能特性で説明された. (3) 嗜好型官能評価によって, 代表試料のうち10試料の「動物性食品らしさ」を数値化した. 「動物性食品らしさ」は植物性試料においても知覚された. 主成分得点を用いた応答曲面法により, 試料の「動物性食品らしさ」と分析型官能評価の結果を照合した. 「動物性食品らしさ」には動物性原材料由来の官能特性だけでなく香味野菜由来の官能特性も影響している可能性や, 「動物性食品らしさ」の知覚に適した味や風味の組み合わせがある可能性が示唆された.
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