日本食品科学工学会誌
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早期公開論文
早期公開論文の8件中1~8を表示しています
  • 中山 素一, 伊藤 隆, 加藤 真悟, 大熊 盛也, 米満 宗明
    原稿種別: 報文
    論文ID: NSKKK-D-25-00049
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/02/16
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    イソ吉草酸とイソ酪酸を主成分とした酸臭・獣臭の強い「昔ながらの豚骨ラーメン」店は, すべては「呼び戻し」製法で炊き出しを行っていることが分かった. Whole Genome Sequencing 解析や定量PCRの結果から, 「呼び戻し」製法で作ったスープ中には, 超好熱性アーキアのSulfophobococcus zilligiiが存在し, 炊き出し中に増殖して特徴ある香気成分のイソ吉草酸とイソ酪酸を産生することが示唆された. このことから, 所謂「昔ながらの豚骨ラーメン」は, 世界で初めて超好熱性アーキアが関与する発酵食品であることが示唆された.

  • 島村 裕子
    原稿種別: 奨励賞総説
    論文ID: NSKKK-D-25-00094
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/02/03
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    In recent years, the advancement of science and technology, together with the broadening and internationalization of food distribution systems, has generated numerous challenges related to food safety. Risk factors that compromise food safety include biological hazards—such as bacteria, viruses, and parasites—that induce adverse health outcomes including foodborne illnesses and infectious diseases, as well as chemical hazards—such as food additives, pesticides, and allergens—that precipitate health effects such as carcinogenicity (genotoxicity), endocrine disruption, and allergic responses. Thus, to safeguard food safety and minimize associated risks, the establishment of scientifically grounded control strategies is essential, requiring evaluation of the health impacts posed by biological risk factors such as foodborne pathogens, as well as chemical risk factors such as hazardous chemical substances, and the development of measures to mitigate these impacts. Moreover, given that risk factors threatening food safety seldom occur independently, assessment and control methodologies that assume the coexistence of both biological and chemical hazards are likewise necessary. This review summarizes current findings on the toxicity mechanisms and control of extracellular metabolites produced by Staphylococcus aureus, a representative biological hazard, and introduces the effects of combined exposure to acrylamide—a mutagenic and carcinogenic chemical risk factor—and staphylococcal toxins on host cellular systems.

  • 松本 隆志
    原稿種別: 報告
    論文ID: NSKKK-D-25-00088
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/01/27
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    本研究では2015~2024年の食品リコールを分析し,制度施行前後の動向を検討した。責任の所在による区分では「製造者起因」が約9割で構成比は変わらず,件数増加は届出義務化による可視化が主因と考えられた. 特に食品表示法違反によるリコール数の増加が顕著であった. 「製造者起因」のリコールを工程別に分類したところ, A)包装工程が最多で,平均258件から制度施行後は1 200件台となり,多くが期限とアレルゲンの誤表示・表示欠落であった. アレルゲン関連は平均76件から600~700件台へ増加し,原因の9割はラベル貼り間違いであった. B)製造工程は223件から400件前後となり,微生物汚染と異物混入が中心であった. C)原材料調達工程も増加し,サプライチェーンの上流工程におけるリスクが示された. D)製品設計・開発工程ではアレルゲンの誤表示・表示欠落が多かった. カテゴリー別では上位5カテゴリーが75%以上を占め,「弁当・惣菜」ではアレルゲン誤表示が突出し,「菓子」では期限表示やカビ汚染が多く,カテゴリー固有のリスクが示された.

  • 森川 太郎, 三根 崇幸, 濱 洋一郎
    原稿種別: 研究ノート
    論文ID: NSKKK-D-25-00056
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/01/13
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    乾海苔の口溶けに関与する要因を明らかにするため, 乾海苔を構成するノリ葉体の重なり層数および乾海苔の多糖含量とテンシプレッサーで測定した咀嚼回数との関係を調査した. その結果, 葉体層数と咀嚼回数との間に相関は認められなかった. また, 全多糖成分の中でポルフィラン含有量が最も多く, 咀嚼回数との間に強い相関が認められた. さらに, ノリ葉体とその乾海苔の多糖含量を比較した結果, 全ての多糖成分で正の相関が認められた. 以上のことから, 乾海苔の口溶けには, ノリ葉体のポルフィラン含量が関与していることが強く示唆された.

  • 松本 隆志
    原稿種別: 報告
    論文ID: NSKKK-D-25-00078
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/12/02
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    本研究は, 日本本社企業8社と海外本社企業2社を対象に, 海外事業における品質保証体制の現状を調査し, 比較分析を行ったものである. 調査は半構造化インタビュー形式で実施し, リスクアセスメント, サプライヤー管理, トレーサビリティおよびクレーム対応, グローバル人材育成, 品質マネジメントの5項目について情報を収集した.結果として, 対象企業の品質保証体制を「統制型」「調整型」「自律型」の三類型に分類した. 「統制型」では本社主導でグループ共通の基準を運用し, 監査や情報共有が制度化されていた. 「調整型」は本社と現地法人が協働しつつ柔軟に役割を分担する体制であり, 「自律型」では現地法人が主体となり, 製品の流通形態に応じて本社が限定的に関与していた. いずれの企業もGFSIまたは同等の基準を導入しており, 国際的な枠組みが品質保証の基盤として機能していた. リスクアセスメントやサプライヤー管理では, 統制型の企業がリスクベースの評価や認証取得を徹底していたのに対し, 日本本社企業では製品特性や重要度に応じて, 本社と現地法人の役割を柔軟に分担する仕組みがみられた. トレーサビリティおよびクレーム対応では, 情報共有や指標管理の方法に差はあるものの, 重大案件に対する本社の関与が共通して確認された. グローバル人材育成では, 統制型の企業がグループ全体を対象とした体系的な教育体制を整えているのに対し, 日本本社企業では出向者研修や現地教育を中心とした独自の取り組みが進められていた. 本研究は, 海外本社企業を調査対象に含めることで, 日本本社企業の取り組みを相対化し, 国際的な品質保証体制の特徴を明らかにした点に意義がある. 今後は, 統一的基準と現地適応性の両立, ならびにリスクアセスメントとグローバル人材育成の強化が, 海外事業における品質保証体制の発展に不可欠であると考えられる.

  • 山中 楓夏, 金森 琴美, 高木 浩史, 武内 純子, 山﨑 雅夫
    原稿種別: 報文
    論文ID: NSKKK-D-25-00053
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    赤ワイン用ぶどう品種である山幸は, 耐寒性に優れ, そのワインには華やかなアロマと未熟臭があると報告されているが, 原料果汁の香気に関する報告はない. そこで, 成熟過程における山幸果汁の香気成分を調べるとともに, 成熟促進の効果があるとされる栽培中の除葉操作の有無が果汁香気に及ぼす影響を検討した. その結果, 山幸ぶどうの特徴香気としてmethional, vanillinが示され, またグリーンの香気を有する複数の成分が成熟に伴い変化し, グリーンの匂い強度は減少することが分かった. 未熟臭の原因でありグリーン香の特徴成分とされるIBMP は香気強度が低かったことから従来のピラジン類だけでは説明できないグリーンの香調が山幸ぶどうおよびワインの香り構成に寄与している可能性が示唆された. 成熟に伴い, methionalが増加しグリーン様の香気成分は減少傾向を示すものの, 完全には消失せず, 山幸ぶどう特有の香りバランスを保つ役割を果たしていると考えられた.除葉操作の有無はぶどうの糖度や酸度に影響せず,成熟促進効果があるとは言えなかった.香気分析においては未熟臭として懸念されるピラジン類の香りへの関与が低かった半面, グリーン様の香気は除葉により減少していたことから,香気には変化をもたらすと推察された.

  • 大富 あき子, 熊谷 百慶, 井野 睦美, 日高 健人, 大富 潤
    原稿種別: 報文
    論文ID: NSKKK-D-25-00057
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/10/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    深海性未利用種のアイアナゴ(Uroconger lepturus)とニセツマグロアナゴ(Bathycongrus wallacei)の有効利用のために,化学成分特性と調理後の物理的特性を調べるとともに官能評価を行い,浅海性有用種のマアナゴ(Conger myriaster),クロアナゴ(C. jordani)と比較した.その結果,アイアナゴとニセツマグロアナゴの呈味性遊離アミノ酸は有用種と大きな差は認められず,タウリンを多く含有していた.また,加熱後の水分蒸発量が多くても身が柔らかいという特徴があり,官能評価ではゆでおよび焼きの両調理法において有用種と遜色のない総合的な好ましさを示した.以上より,深海性種のアイアナゴおよびニセツマグロアナゴは,有用種の代用ではなくそれら自体が優れた食材になり得ることがわかった.

  • 宮地 夏奈, 坂本 みのり, 神津 博幸, 小林 功, 下久 由希, 金﨑 真悠, 柴田 賢哉
    原稿種別: 技術論文
    論文ID: NSKKK-D-25-00041
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/10/22
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    常圧含浸法を用い,鶏ムネ肉に2種類のたんぱく質分解酵素をそれぞれ導入し,硬さと消化性を制御した形状保持軟化鶏ムネ肉を調製した.R処理試料は形状を保持して過剰軟化することなく,BR処理試料よりも多くの可溶性たんぱく質が生成した.また,形状保持軟化鶏ムネ肉について,GDSを用いたin vitro胃消化試験により消化挙動を解析した.2種類の酵素処理鶏ムネ肉は対照とは異なる消化挙動を示した.エンド型プロテアーゼを用いたBR処理試料は,消化試験開始後速やかに微細化し,消化物中の粒子サイズ分布が最も小さくなるとともに,可溶性たんぱく質も溶出しやすかった.エキソ型ペプチダーゼを用いたR処理試料は,BR処理試料と比較して微細化の速度が遅いものの,消化試験後の可溶性たんぱく質量が多かった.以上から,試料の軟化度のみが可溶性たんぱく質溶出量に影響する訳ではなく,事前の酵素処理によって生成する可溶性たんぱく質量と消化時の微細化の程度の両方が影響することが分かった.常圧含浸法を適用した形状保持軟化食品について,酵素選択により食材の力学特性を調整しつつ,消化性を向上させた食品を製造可能なことが示唆された.

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