日本食品科学工学会誌
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早期公開論文
早期公開論文の9件中1~9を表示しています
  • 御堂 直樹, 小池 優子, 小池 伶奈, 佐藤 陸, 不殿 彩加
    原稿種別: 技術論文
    論文ID: NSKKK-D-24-00104
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/01/14
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    冷え症と非冷え症の体質間で,温スープ摂取後の体温,自律神経活動および主観的温度感覚の変化に違いがあるのかを明らかにするため,ランダム化クロスオーバー試験を行った.被験者は20名の若年女性であり,冷え症群と非冷え症群を各10名とした.被験者は一晩の絶食後,別の日の午前中に150 ml の37℃の水(コントロール)または65℃の温スープを摂取し,摂取60分後まで評価した.足先温は,体質に関らず温スープ摂取により一過的にコントロールよりも有意に上昇した後,冷え症群では摂取60分後までコントロールよりも高値傾向を示したが,非冷え症群では温スープ摂取とコントロールの値が逆転する傾向を示した.耳内温,手先温,自律神経活動および主観的温度感覚には,温スープ摂取後の推移に,体質間の有意な違いは認められなかった.以上の結果から,温スープ摂取による足先温の上昇は,非冷え症者より冷え症者で長く持続することが示唆された.

  • 矢羽田 歩
    原稿種別: 奨励賞総説
    論文ID: NSKKK-D-24-00094
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/18
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    Shiikuwasha (Citrus depressa Hayata) has attracted attention in recent years for its anti-cancer, anti-inflammatory, and other health-promoting properties, leading to a rapid increase in demand and a chronic shortage of fruit for processing. To compensate for this shortage, adulteration of shiikuwasha juice with calamondin (Citrus madurensis Lour.) juice has become a major concern. The aim of this study was to develop a reliable methodology to assess the authenticity of shiikuwasha juice. The developed approaches include: (1) sensory evaluation, a low-cost and direct technique capable of detecting contamination levels above 50% in calamondin juice; (2) a thin-layer chromatography (TLC) method developed to detect 3',5'-di-C-β-glucopyranosylphloretin, a chemical marker specific to calamondins; and (3) high performance liquid chromatography (HPLC) and solid-phase microextraction–gas chromatography (SPME-GC) methods to identify polymethoxyflavonoids and γ-terpinene, the main characteristic compounds of shiikuwasha, as chemical markers. To further ensure product authenticity, DNA marker-based methods have also been developed. It is anticipated that these evaluation methods will be extensively employed in a wide range of fields, from production and processing to distribution, in order to accurately identify shiikuwasha products.

  • 森髙 初惠, 不破 眞佐子, 山中 健太郎
    原稿種別: 報文
    論文ID: NSKKK-D-24-00090
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/13
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    TAFを添加した豆乳に,亜酸化窒素ガスを用いてサイフォン法によりエスプーマを生成し,その力学特性と咽頭部における食塊の最大移動速度について検討した.比較として,ハンドミキサーにより生成した泡沫についても検討した.起泡力は,サイフォン法ではTAF濃度が0.5 %(w/w)で増加し,ミキサー法ではTAF濃度が増加すると減少した.TAF濃度が増加すると,エスプーマではηapp,G’ および付着性が増加し,ミキサー泡沫では付着性とG’ は減少した.両種類の泡沫において付着性とG’ の間には正の相関が認められ,両レオロジー特性値が最大であったのは,エスプーマでは0.9 %(w/w)TAF,ミキサー泡沫では0.25 %(w/w)TAFであった.同一のTAF濃度において,咽頭部における食塊の最大移動速度は,泡沫生成前の豆乳で最も速く,エスプーマで最も遅かった.0.25 %(w/w)TAF添加豆乳エスプーマの最大移動速度は気泡を含まない0.9 %(w/w)TAF添加豆乳よりも遅かった.特に0.9 %(w/w)TAF添加豆乳エスプーマ食塊は,全種類の試料の中で最も遅い最大移動速度であった.以上の結果から,豆乳エスプーマではTAFを豆乳に添加するだけでは得られないレオロジー特性の変化が生じ,咽頭部における食塊の最大移動速度を顕著に低減できることが示された.

  • 稲垣 瑠奈, 中野 優子, 平野 啓太, 風見 由香利, 望月 寛子, 平垣内 一子, 富 研一, 佐藤 亮太郎, 齋藤 努, 佐藤 瑶子, ...
    原稿種別: 報文
    論文ID: NSKKK-D-24-00036
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/02
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    典型的な動物性食品であるとんこつラーメンスープと, その代替である植物性のとんこつ風ラーメンスープを試料として, 共通した評価項目を用いて官能評価を行った. 得られたデータをもとに「動物性食品らしさ」の要因を検討した. (1) 自由記述式の官能評価によって, 33試料から評価用語を収集した. 集計・解析・討議により, 33項目の評価項目を決定した. (2) 分析型官能評価によって代表12試料の官能特性を定量化した. 試料は選定した33の官能特性を全て有していることが示され, 動物性・植物性試料の特徴を共通した評価項目によって表現可能であると示唆された. 主成分分析より, 第1主成分が動物性・植物性試料の特徴を反映した軸, 第2主成分が香味野菜に由来する官能特性を表す軸, 第3主成分が基本味の軸, 第4主成分には乳化や野菜, 野菜に関する官能特性が関連すると解釈した. 第2主成分から第4主成分については, 動物性, 植物性を問わない官能特性で説明された. (3) 嗜好型官能評価によって, 代表試料のうち10試料の「動物性食品らしさ」を数値化した. 「動物性食品らしさ」は植物性試料においても知覚された. 主成分得点を用いた応答曲面法により, 試料の「動物性食品らしさ」と分析型官能評価の結果を照合した. 「動物性食品らしさ」には動物性原材料由来の官能特性だけでなく香味野菜由来の官能特性も影響している可能性や, 「動物性食品らしさ」の知覚に適した味や風味の組み合わせがある可能性が示唆された.

  • 稲葉 正一, 羽倉 義雄
    原稿種別: 報文
    論文ID: NSKKK-D-24-00054
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/02
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    容器表面の多様な熱伝達様式及び容器の厚さを数値計算上で考慮する新たな方法として, 「容器・熱伝達率組込み法 Calculation method incorporating heat transfer coefficient and container (CIHC法)」を提案した. 肉厚の異なる3種類のプラスチック容器に満注充填された糊化デンプン液を一定に流れる水中で加熱殺菌処理を行い, 内容物内の温度分布を測定した. 内容物の温度分布を数値計算するために, 包材と熱伝達率の影響を表す固体被覆層をCICH法でモデル化し, 蓋および底部の厚さ4 mm, 側壁部 8mmの固体被覆層の有無で計算値と実測値との差異を評価した. その結果, Fo値, RMSEによる評価で固体被覆層を設定した場合の方が実測値との差が小さいことが明らかになった.

  • 豊嶋 人実, 西塔 正孝, 永井 毅
    原稿種別: 技術論文
    論文ID: NSKKK-D-24-00081
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/11/29
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    本研究では, 豆腐や豆乳製造過程で発生する副産物のおからを用いた豆腐様食品の開発を目的として, おからの新たな加工利用の可能性を検討した. 予め120 ℃, 15分間加熱処理したおからは, 1.0 %(w/w)セルクラスト® 1.5L, 1.0 %(w/w)ビスコザイム®L ならびに1.0 %(w/w)ペクチナーゼSSを併用して45 ℃, 24時間消化した結果, おからの食物繊維を効率良く分解できた. 得られたおから乳に種々の多糖類を添加して豆腐様食品を調製したところ, 0.7 %(w/w)κ-カラギナン, 0.2 %(w/w)キサンタンガムの使用が市販絹ごし豆腐と同様の食感を有する豆腐様食品の製造を可能とした. 豆腐様食品のL*値とb*値は市販絹ごし豆腐と比較して有意に低く, ややくすんだ色彩を呈していた. テクスチャー解析ならびに官能評価から, 開発した豆腐様食品は市販絹ごし豆腐同様のなめらかで軟らかい食感を有する食品であった. 以上のことから, おからの豆腐様食品への応用は, 食品廃棄物の削減のためにも有用な技術開発であると結論づけた.

  • 藤原 佳史, 重松 政明, 大西 雅美, 向井 良子, 新居田 早苗
    原稿種別: 報告
    論文ID: NSKKK-D-24-00020
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/10/29
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    本研究では,削りぶしの水分,可溶性固形分,塩分および脂質を近赤外分析法で推定できるか検証した. 削りぶし82検体を試料とし,それぞれの化学分析値および近赤外スペクトルを取得し,PLS回帰分析により検量線を作成した.全ての分析項目で,化学分析値と近赤外分光法による推定値には非常に高い相関があった.近赤外分光法の推定精度は,水分と脂質は「精度が極めて高く化学分析と同等」,可溶性固形分と塩分は「精度が高く問題の無い推定が可能」と評価された. 以上のことから,削りぶしの水分,可溶性固形分,塩分および脂質を近赤外分析法で推定できること,削りぶしの品質評価,工程管理および製品検査などに近赤外分光法を活用できることがわかった.

  • 村井 匠, 宮川 璃空, 小畑 悠, 落合 利治, 斎藤 嘉人
    原稿種別: 報告
    論文ID: NSKKK-D-24-00050
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/10/01
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    本研究では,低環境負荷かつ豆腐の風味を保持する新たな充填豆腐の製法として考案された,温豆乳充填豆腐の保存性を調査するため,異なる条件で10種類の豆腐を調製し,40日間の貯蔵期間から8回の計測日を設け,大腸菌群数及び一般生菌数の計測を行った.また,豆腐の品質管理における新たな品質計測手法の可能性として,豆腐の時系列的な蛍光特性に着目し,10倍希釈豆腐試料励起蛍光マトリクス(Excitation Emission Matrix: EEM)の測定を行った.菌数測定の結果,充填温度60 ℃・ボイル処理なしの温豆乳充填豆腐以外では大腸菌群が観測されなかった.一方,一般生菌数については,貯蔵期間に対し指数関数的な増加が観測された.また,凝固後に加熱処理を行わなかったノンボイル試料において,高温の80 ℃で充填された温豆乳充填豆腐は低温度の充填と比較して長期の保存性が示された.さらに,10倍希釈豆腐試料のEEMを取得したところ,3つの波長帯で特徴的な蛍光ピークが観測され,蛍光強度は貯蔵日数の経過とともに減少した.この蛍光特性の変化に基づく一般生菌数の推定可能性を検証するため,EEMデータを入力とした部分最小二乗回帰(PLSR)およびサポートベクターマシン(SVM)による回帰モデルの構築を試みた.モデルの堅牢性を評価するため,5分割交差検証を適応した結果,最適化されたSVMモデルにおいて,検証データに対する決定係数(R²cv)は0.756であった.以上の結果から,温豆乳充填豆腐の有用性およびEEMによる貯蔵中の豆腐の非破壊菌数推定の可能性が示唆された.

  • 原口 翼, 増田 渉, 城内 文吾, 原野 雅子, 田中 一成
    原稿種別: 報文
    論文ID: NSKKK-D-24-00030
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/09/24
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    本研究では,エソすり身摂取がラットの脂質および糖質パラメーターに及ぼす影響について検討を行った.試料はエソすり身凍結乾燥粉末を用い,たんぱく質含量70 %,脂質含量は1.6 %であった.食餌はたんぱく質源をカゼイン20 %としたCO食,エソすり身をCO食のカゼインと15 %レベルで置き換えたものをエソすり身食とした.CO食の脂質含量を15 %としたHF食,HF食のカゼインとたんぱく質15 %レベルでエソすり身と置き換えたHF+エソすり身食の4種類を準備した.5週齢雄性SD系ラットに試験食を3週間自由摂食させた.エソすり身摂取は白色脂肪組織重量を有意に低下させた.一方,血清および肝臓脂質濃度においてエソすり身の影響は観察されなかった.エソすり身摂取により糞中への脂肪酸,Cho,胆汁酸および窒素の排泄が有意に促進し,盲腸および盲腸内容物重量が増加した.以上の結果より,エソすり身が白色脂肪組織の蓄積を低減させることが明らかになり,これらの影響は主にエソすり身のたんぱく質画分およびソルビトールに起因していると考えられる.

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