日本食品科学工学会誌
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技術論文
甘藷蒸切干し製造における中白の発生防止とマルトース生成制御
前波 清隆石谷 孝佑佐藤 瀏
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2005 年 52 巻 4 号 p. 172-177

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抄録

甘藷蒸切干しは日本の伝統食品であるが, 輸入品が増加する中で, さらなる品質向上が求められている.
近年, その製造過程で, 蒸し後に芋の中心部分が白く残る中白 (なかじろ) という現象がみられるようになっている. この問題を解決するため, ボイラーのゲージ圧を通常の0.8kgf/cm2から1.1kgf/cm2に上げた蒸気を蒸器に導入することにより, 甘藷の蒸し工程で短時間に中白が消失することを確認した. また, ゲージ圧0.8kgf/cm2の蒸気であっても釜の中の湯を通過させてから導入することで中白の発生を抑え, 蒸し時間を短縮できることを明らかにした.
さらに, 蒸し工程において現在よりゆっくり温度を上昇させ, 充分加熱することにより, 澱粉の糖化を促進し, 老化しにくい甘みの優れた製品にする蒸し制御技術について考察し, 新しい蒸し技術を開発した.
甘藷蒸切干しの製造法について, これまで伝統的な経験と勘に頼っていた技術を数値化し, これを中白の発生防止に結びつけるとともに, 付加価値の高い甘藷蒸切干しの製造技術を確立することができた.

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© 2005 日本食品科学工学会
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