日本食品科学工学会誌
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豚肉発酵調味料“肉醤”の性質
三上 正幸Trang Nguyen Hien島田 謙一郎関川 三男福島 道弘小野 伴忠
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2007 年 54 巻 4 号 p. 152-159

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抄録

本研究は豚挽肉から発酵調味料である肉醤を製造し,その性質について検討した.豚挽肉に食塩,麹,胡椒,水およびプロテアーゼとしてAlcalase 2.4Lを加えて,3種の異なった食塩濃度(15,20および25%)のもろみを調製し,30℃,6ケ月間発酵させた.この間,1ケ月後にFlavourzyme 500Lを添加したものも調製した.発酵期間中に細菌数は減少し,6ケ月後に,一般生菌数は3.9~7.0×102cfu/g, 乳酸菌数は300以下および大腸菌群は検出されなかった.発酵は1ケ月後から急激に進み,その後緩やかに進んだ.6ケ月後において,もろみからの肉醤の収率は67.0~78.5%,pHは4.76~5.01,タンパク質の回収率は71.9~79.8%,全窒素量は1.7~2.0g/100ml, ペプチド量は3.5~6.3g/100ml, 総遊離アミノ酸量は4.8~7.8g/100mlであった.Flavourzyme 500Lを添加したものは総遊離アミノ酸量が多くなった(p<0.05).肉醤の食塩濃度は,15%の食塩でもろみを調製したものは,20.5~20.8%,20%および25%の食塩で調製したものは,22.8~23.5%であった.官能評価の結果は,総合評価で20%の食塩で調製したものが,さらにFlavourzyme 500Lを添加したものが良い評価であった.

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© 2007 日本食品科学工学会
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