日本食品科学工学会誌
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SSR分析を用いた黒大豆「丹波黒」とその加工品の品種判別
小阪 英樹畠中 知子吉田 晋弥戸田 登志也
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2009 年 56 巻 3 号 p. 119-128

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抄録

丹波地方を発祥とする極大粒黒大豆の在来種である丹波黒について,国内の主要産地で維持,管理されている系統(標準系統)と,その他の黒大豆品種を判別する方法を検討した.74組の大豆SSRプライマーから,標準系統と他品種黒大豆との間で明瞭な多型がみられる18組のプライマーを判別用プライマーとして選択した.この18組のプライマーを用い,丹波黒として市場流通している日本産および中国産種子を分析したところ,日本産はすべて標準系統と遺伝型が一致したが,中国産は異なる遺伝型が多くみられ,標準系統と一致した子実は13%しか存在しなかった.クラスター分析により中国産は丹波黒標準系統と遺伝的な距離が近いものから,育種,特性資料に基づく遺伝的類縁関係の遠い中生光黒,丹近黒と同程度のものまで,遺伝型は多様であった.本技術の加工食品への適用について検討したところ,煮豆,蒸し豆,煎り豆は子実と同様に判別が可能であったが,納豆では不可能であった.実際に市販加工品を分析したところ,産地が記載されていない製品,中国産の製品については丹波黒標準系統と遺伝的に異なる品種が混入していた.

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© 2009 日本食品科学工学会
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