日本食品科学工学会誌
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ラット好塩基球様細胞株RBL-2H3の脱顆粒に及ぼすカゼイン由来ペプチドおよび関連アミノ酸の影響
田中 守山岸 賢司菅原 卓也廣内 智子岡本 威明
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2012 年 59 巻 11 号 p. 556-561

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抄録

本研究では,抗アレルギー作用を持つカゼイン由来ペプチドの検索を目的とし,抗アレルギー作用と関連が高い脱顆粒阻害作用を検討した.さらに,抗アレルギー作用を持つペプチドを構成するアミノ酸の脱顆粒阻害作用,およびサイトカイン産生とアミノ酸の荷電密度との関連性について検討した.ペプチドサンプルは,カゼイン由来ペプチド混合物であるCE90GMMに含まれているトリ,もしくはテトラペプチド,HAQ,DMES,EQPI,KIKEを用いた.ラット好塩基球様細胞株(RBL-2H3)を用いて,ペプチド共存下で抗原抗体反応による脱顆粒の際に放出されるβ-hexosaminidaseを測定し,抗アレルギー作用を評価した.サイトカイン産生(TNF-α,IL-4)はELISA法により求めた.各種アミノ酸の最適化構造,および電荷状態は,静電ポテンシャルの三次元マップにより評価した.CE90GMM(0.25mg/mL)刺激下で有意な酵素放出活性の低下が認められた.また,4種類のペプチド刺激下(10~500μg/mL)では,全てのペプチドにおいて用量依存的に脱顆粒阻害作用があることが示唆され,脱顆粒阻害作用はペプチドの種類により異なることが明らかとなった.さらに,抗アレルギー作用を示すアミノ酸の特徴として,側鎖に芳香環を持ち,さらに芳香環の電荷密度が関係している可能性が示唆された.

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© 2012 日本食品科学工学会
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