日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
報文
圧力処理キムチの変性剤濃度勾配ゲル電気泳動による菌叢解析
小林 正義川村 麻梨子小林 篤山﨑 彬福田 雅夫
著者情報
キーワード: DGGE, キムチ, 高圧, 酵母, 乳酸菌
ジャーナル フリー

2013 年 60 巻 12 号 p. 695-704

詳細
抄録

高静水圧は発酵の制御に有望な技術だと考えられている.高静水圧の効果を把握するため,キムチ発酵における微生物叢の挙動をPCR増幅したDNAの変性密度勾配ゲル電気泳動とゲルから抽出したDNAの塩基配列シーケンシングにより調べた.キムチからLactobacillusLeuconostocおよびWeissella属を含む11種の乳酸菌を分離した.60日間のキムチ発酵過程では,pHは3.9まで二段階で低下した.乳酸菌濃度は15日目に最大になり,その後3.2×108 cfu/mlに保たれた.乳酸菌の中ではL. sakeiが一定して認められ,L. plantarumが21日目以降に見られた.酵母の菌濃度は15日目に最大となり1.4×108 cfu/mlに達し,27日目以降は検出限界以下へと減少した.酵母ではKazachstania servazziiが圧倒的に優占化していた.発酵21日目に200 MPa,60分の高圧処理をキムチに加えたところ,以降のpH低下が見られなかった.乳酸菌と酵母の菌濃度は急激に低下し,それぞれ8.3×105 cfu/mlならびに検出限界以下となり,乳酸菌は緩やかに回復したが,酵母は速やかな回復を見せた.しかし,高圧処理の有無による微生物叢の明確な違いは観察されなかった.発酵開始時におけるL. sakeiK. servazziiの添加も試みたが,明確な効果は見られなかった.

著者関連情報
© 2013 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top