日本食品科学工学会誌
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技術論文
表面筋電図法による水産練り製品のテクスチャー評価
野口 由里香塙 総司杉山 公教佐々木 啓一
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2016 年 63 巻 4 号 p. 150-157

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抄録

水産練り製品の品質を決める “あし” を構成する4つのテクスチャー : 弾力,硬さ,しなやかさ,歯切れの良さの特性をもつモデルゲルについて筋電位測定を行い,以下の結果を得た.
(1)弾力は,中切歯による咬断時と臼歯による磨砕時に強く感じられるテクスチャーであり,咬筋における “積分値” および歯が貫入する初期感覚である “ピーク前の積分値” を数値化することにより評価できた.
(2)硬さは,中切歯による咬断時と臼歯による磨砕時に強く感じられるテクスチャーであり,咬筋における “ピーク値” および “実効値” を数値化することにより評価できた.
(3)しなやかさは,臼歯による磨砕時に強く感じられるテクスチャーであり,咬筋における “ピーク後の持続時間” を数値化することにより評価でき,しなやかさ定義の新しい見解が得られ,持続的な練り製品特有の食感に大きく寄与していることが示唆された.
(4)歯切れの良さは,噛み切り易さという視点では,臼歯による磨砕時に強く感じられるテクスチャーであり,咬筋における歯が貫入する初期感覚である “ピーク前の積分値” を数値化することにより評価できた.しかし,水産練り製品の歯切れの良さという視点では,今後検討が必要であった.
(5)表面筋電法は,水産練り製品の品質を客観的に評価する手法として有効であると結論した.

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© 2016 日本食品科学工学会
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