本研究の目的は,メタボリックプロファイリング手法が柑橘果汁飲料の製品状態を客観的に評価できるかを調べることである.
柑橘果汁飲料製品を55°Cで1,2,3,4週間保存し,凍結乾燥,溶剤抽出等の前処理後,TMS誘導体化処理してGC/MS測定を行った.得られたクロマトグラムの波形データを主成分分析した結果,保存期間毎に群分けされ,それに寄与する成分が保持時間と質量スペクトルからフルクトース,グルコース,スクロースと同定された.
その変動を確認するため,市販果汁飲料の4°Cおよび30°C,40°C,55°Cの2週間,4週間保存試料をHPLCで測定し,変動量をモル濃度で比較したところスクロースの加水分解によりモル等量のフルクトースとグルコースの生成が推定された.
クロマトグラム波形の解析および質量分析による成分推定を行う本手法は食品中の成分変化の探索に有効で,得られた波形パターンを製品のプロファイルとして品質管理等への応用の可能性が確認された.