日本食品科学工学会誌
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研究ノート
牛肝臓内部におけるCampylobacter jejuniγ線照射による殺菌効果
川崎 晋齋藤 美枝持田 麻里等々力 節子
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2018 年 65 巻 5 号 p. 259-263

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抄録

牛挽肉および肝臓中でのC. jejuniγ線照射による殺菌効果について検討を行い,殺菌に必要とされる線量応答を取得した.その際,望ましいγ線照射形態について検討するため,冷蔵·冷凍および含気·脱気包装条件下での殺菌効果を比較した.牛肝臓中でのγ線照射による殺菌には,従来の報告で示された牛挽肉殺菌試験結果よりやや高めの線量が必要で,冷蔵条件の場合のD10値は,含気条件で0.26kGy,脱気条件で0.33kGyであった.この現象は冷凍条件下ではより顕著に観察され,凍結条件下でのD10値は0.58kGyと,先の牛挽肉研究例と比較して高い線量照射を必要とした.さらに牛肝臓を脱気包装した場合では,さらなる殺菌効果の低下が観察され,D10値は0.69kGyとなり含気条件下よりさらに高い線量照射を必要とした.放射線照射時は食品自身の劣化防止のため低温かつ酸素濃度を低下させた環境が望まれるが,牛肝臓中での殺菌を行う場合,上記条件下での照射は品質評価と共に慎重に検討すべきである.

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© 2018 日本食品科学工学会
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