日本食品科学工学会誌
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高アミロース米「越のかおり」の炊飯時における適正加水率の検討
榎 康明笹川 克己藤村 忍山口 智子
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2018 年 65 巻 6 号 p. 313-317

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抄録

高アミロース米は,血糖上昇が穏やかな機能性米としての利用が期待できるが,その米飯は硬く粘りが少ないため,日本人の嗜好性に適さない.そこで,高アミロース米「越のかおり」について,好ましい食味が得られる炊飯方法について加水条件を中心に検討を行い,次の結果を得た.

(1)浸漬温度の相違(20℃または40℃)に関わらず,30分の浸漬時間で十分な吸水が認められた.

(2)米飯の水分含量は,同加水率ではコシヒカリよりも低値を示したが,加水率の増加に伴い水分含量も増加し,加水率1.8倍以上の高加水条件ではコシヒカリよりも高値となった.

(3)米飯の物性は,加水率の増加に伴い「硬さ」と「こし」が低下し,「付着性」と「粘り」が増加した.コシヒカリ米飯を基準とした好ましい物性を得るためには,加水率1.8∼2.2倍の加水条件が適切であると考えられた.

(4)米飯の官能評価では,加水率2.2倍で炊飯した米飯の評価がコシヒカリに最も近かったことから,越のかおりの炊飯時の加水率は,米重量比2.2倍が適切であることが明らかになった.

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© 2018 日本食品科学工学会
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