論文ID: NSKKK-D-22-00043
最近,味噌の製造工程で発酵・熟成工程に使用される容器は,従来の木製の桶から繊維強化プラスチック (FRP) や金属製のタンクに代わってきている.そのため,仕込み容器の違いが味噌に与える影響を明らかにすることを目的に,木桶およびFRP製の仕込み容器で同一原材料と原料処理および配合条件で仕込み,製造された米味噌を用いて解析を行った.その結果,木桶味噌とFRP味噌との差異は,栄養成分,有機酸および遊離アミノ酸量において若干認められたが,味覚に関しては大きな影響を与えないことが示された.しかしながら,香気成分では両者に大きな差が認められ,木桶で製造された味噌の方が香気成分含量および種類ともに多かった.この要因として,木桶味噌とFRP味噌の菌叢分布差異が影響していると示唆された.