論文ID: NSKKK-D-22-00047
本研究は,β-グルカン量の異なる3種類の大麦粉で餃子皮を作製し,その物性,機能性成分および糖質消化性を小麦粉で作製した餃子皮と比較することで評価した.大麦粉を60 %含む餃子皮は,焼成後も目立った損傷なく再現性良く作製された.焼皮のβ-グルカン量は「ダイシモチ」>「もち絹香」>「サチホゴールデン」>小麦の順に多かった一方,TP量は,「ダイシモチ」>「サチホゴールデン」>「もち絹香」>小麦の順に多かった.小麦焼皮は白色を帯びた黄色であったのに対し,大麦焼皮は褐色や茶色を示し,特に「ダイシモチ」は黒みのある焼皮であった.「もち絹香」および「ダイシモチ」の硬さは最も低く,「ダイシモチ」の伸びは最も小さかった.糖質消化率は,小腸消化の初期においてもち絹香および小麦が急激に上昇したのに対し,「サチホゴールデン」および「ダイシモチ」が緩やかに上昇した.eGIは,「もち絹香」が最も高く,「サチホゴールデン」が最も低かった.平衡消化率はAA量(r=-0.99, p<0.01)およびRS量(r=-0.98, p<0.05)と負の相関を示した.焼皮のβ-グルカン量は,硬さ,伸び,みかけの粘度および糖質消化性との間に相関関係がみられず,間接的にこれらの性質に影響した可能性が示唆された.