日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X

この記事には本公開記事があります。本公開記事を参照してください。
引用する場合も本公開記事を引用してください。

湿式微粉砕機で調製したスパイスペーストの特性および香気成分放出挙動の解明
小川 夏美Chau Bui Thi Bao小林 誠草野 都粉川 美踏北村 豊
著者情報
ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: NSKKK-D-23-00044

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

本研究では電動石臼を用いた湿式微粉砕機により調製したスパイスペーストの特性と香気成分放出挙動を明らかにした. コリアンダーシードからペーストを調製し, 粉砕回数および固形分比が粒子径や分離率に及ぼす影響を調べたところ, 粉砕回数を増やすことで粒子径は小さくなり, 分離率も減少することがわかった. 固形分比は粒子径に対して有意な影響を及ぼさなかったが, 固形分が増えることで分離率が減少し, ペーストの安定性が向上した. ペーストの蛍光顕微鏡画像からは, ペースト中に油滴が分散していることがわかり, 湿式粉砕によりコリアンダーシード中の油分が放出されていることが明らかになった. コリアンダーシードペーストの香気成分放出挙動を明らかにするために, ペーストを加熱した際にヘッドスペースに放出されたβリナロールおよびカンファーを定量し, 乾式粉砕したコリアンダー粉末と水を混合した粉末液と比較した. ペーストからの香気成分放出量は粉末液と比べて少なく, また分離率が低く, 安定性の高いペーストほど香気成分の放出量が少なかった. これらの結果から固形分や油滴の分散性やペースト特性が香気成分の放出挙動に影響を与える可能性が示された.

著者関連情報
© 日本食品科学工学会
feedback
Top