論文ID: NSKKK-D-24-00032
過熱処理した3品種の玄米をペーストに加工し,その粉砕や貯蔵性に関する特性を実験的に解析した.まず,過熱処理区Bの処理方法,すなわち玄米殺菌・殺虫装置で作製した過熱玄米においてGABA含有量が増加すること,ならびに粉砕特性が優れることを確認した.次に,玄米ペーストについて,レトルト保管区と冷凍保管区においては,12ヵ月間の品質保持が可能であることを確認した.また,玄米ペーストに含まれるGABAは,対照区において湯煎によりその含有量が増加することがわかった.そして,玄米ペーストの粘弾性は保管条件によって異なるため,硬めのペーストが望ましい場合は冷凍保管,軟らかめのペーストが望ましい場合はレトルト保管など,用途によって保管温度を使い分けると良いと考えられた.なお,「ミズホチカラ」は徐々に硬くなる性質,「ヒメノモチ」は基本的には軟らかく徐々に粘りがなくなる性質がみられたため,品種特性を生かして用途を検討するとよいと考えられた.そして,「ひとめぼれ」の玄米ペーストの食味について,過熱処理区Bは冷凍保管・レトルト保管問わず12ヵ月後も基準と同等であり,過熱処理区Bにおける過熱処理が品質保持に役立っていることが示唆された.