論文ID: NSKKK-D-24-00080
牛乳の長期常温保存中に発生するゲル化の有無を保存初期に予測できる方法を見出した.牛乳を各温度(5,25,37℃)で保存し,SDS-PAGEまたはHPLCでカゼイン分解度を分析した.その結果,長期常温保存後にゲル化する殺菌前加温保持なしの直接加熱殺菌牛乳は,25℃と37℃で2~4週間保存後,SDS-PAGEおよびHPLCでカゼイン分解が確認された.カゼイン分解は,2週間保存後よりも4週間保存後,25℃保存よりも37℃保存で顕著であった.これらの結果より,牛乳を25~37℃で2~4週間保存し,SDS-PAGEまたはHPLCでカゼイン分解度を分析することで長期常温保存後のゲル化の有無を早期に予測できることを示した.また,従来報告されていなかった直接加熱殺菌牛乳の加温保持条件(80℃2分間,80℃5分間,85℃2分間,85℃5分間)が長期常温保存後のゲル化抑制効果を有することを明らかにした.