抄録
低メトキシルペクチンの製造試験の第1段階として,今後生産が飛躍的に増加すると予想される温州ミカンについて,その果汁残査がペクチン源として適当であるか否かについて検討した。その結果
(1) 温州ミカンのペクチン含量はかなり高く,夏ミカンに比べても決して劣るものでないことがわかった。
(2) ペクチンの抽出には塩酸の希薄溶液による方法がすぐれていた。そこで,さらに塩酸の抽出条件を検討し,収率および製品の性質からして,0.04Nの塩酸液で,85℃, 60分程度が温州ミカンの場合適当なように思われた。
(3) ペクチン抽出液からペクチンを沈殿精製するのには,アルコール法よりもアルミニウム塩法がよいようで,このようにして得たペクチンは,メトキシル基は8%以上であった。このものはH.M.P.で,そのままで十分利用価値があるが,L.M.P.製造のペクチンとしても活用できるものと思われた。