日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
凍結乾燥食品の貯蔵に関する研究(第6報)
凍結乾燥カキ(貝)の吸水率および吸湿性について
山崎 濶砂川 満男今井 寛
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1967 年 14 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

凍結乾燥カキの貯蔵中における吸水率および吸湿性の変化について試験を行なうとともに抗酸化剤,EDTAで処理したものの復元性におよぼす影響について実験し,つぎのような結果を得た。
(1) 煮熟カキは水戻しした場合,きわめて短時間で復元するが,保水性が悪く風味はほとんど感じられなかった。生カキは60分間程度でほぼ復元し,3ヵ月間貯蔵を行なっても新鮮物に近い風味を保持し得た。
(2) 凍結乾燥カキの吸水率は貯蔵後1~2ヵ月間はほとんど変化を認めないが,3ヵ月間も貯蔵すると明らかに吸水率は低下した。
抗酸化剤およびEDTAで処理したものは無処理のものに比べ,吸水率が高く復元性の向上が認められ,また貯蔵中における吸水率の低下も抑制された。
(3) 凍結乾燥生カキの吸湿速度は煮熟カキよりも速く,無処理>抗酸化剤処理>EDTA処理の順に吸湿量は大であった。また貯蔵中における吸湿量は経時的に大となる傾向が認められた。
(4) 吸水率と吸湿量とは逆相関の関係があるように思考されるが,この点については今後さらに検討を試みたい。

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