日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
甜菜糖が合成着色料の安定性に及ぼす影響(第2報)
石田 欽一
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1968 年 15 巻 11 号 p. 498-501

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抄録
(1) pHの異なる緩衝液に甜菜,甘蔗の両種砂糖を溶解し,青色2号を添加し,クセノンランプ照射および37℃暗所保存をした結果,いずれのpHにおいても甜菜糖区のほうが安定性がよいことを認めた。
また緩衝液,pHの影響はcitrate-phosphate系では両保存試験においてpHの低いほうが色素の安定性が悪いが,暗所保存において,pH 5.25のcitrate-phosphatebufferよりもpH 6.20のphosphate bufferでのほうが色素の安定性が悪かった。
(2) 数種の甜菜糖,甘蔗糖液中の青色2号の安定性は,37C°暗所保存の場合,甜菜糖区のほうが良好であったが,甜菜糖区のうち1試料が青色2号の異常退色性を示すことが認められた。
(3) 異常退色傾向を示す甜菜糖について,青色2号の退色性を螢光灯下で検討を加え,退色速度は砂糖濃度に逆比例すること,砂糖液の調製後の経過時間が長くなるに従い,色素の安定性はよくなることを認めた。
またメチレンブルーを砂糖液に添加すると退色がみられることから,この退色が還元によるものであること,退色前後の青色2号の紫外部吸収スペクトルから,退色は色素の構造の変化によるものであることを推定した。
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