日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
果実およびそ菜類のタンニン成分
(第4報)タンニンの除蛋白能
中林 敏郎
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1968 年 15 巻 11 号 p. 502-506

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抄録
タンニンと蛋白質による沈澱生成の条件を検討した結果。
(1) 除蛋白率はpHおよび緩衝液,タンニン,蛋白質の種類によって大きく変化するが,いずれの場合にもpH4.5~5で最大となる。
(2) ゼラチンとタンニンの濃度比が10:3~4のとき,最大の除蛋白効果が得られる。
(3) タンニン酸による除蛋白率は無機塩,糖,酒精の共存でかなり影響されるが,他のタンニンではほとんど変化しない。
(4) タンニンの種類にかかわらずタンニン-ゼラチン結合物の溶解度の加熱による増加が等しいため,それらの除蛋白能は温度の低下に比例して直線的に平行して増大する。
(5) タンニンの除蛋白能の測定法を定めて測定した結果,タンニン酸がもっとも低くカキタンニンがもっとも大であった。
(6) カキタンニンは沈澱生成のpH領域が広く共存物の影響を受けず,除蛋白能がもっとも大きいので,除蛋白剤や清澄剤としてもっともすぐれていることを明らかにした。
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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