日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
微生物体蛋白の利用に関する研究
(第1報)諸種廃水の活性スラッジ処理のさいの余剰スラッジのアミノ酸組成
星野 直司松尾 俊樹小野 英男
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1969 年 16 巻 2 号 p. 87-93

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抄録
食品工業廃水,一般産業廃水および都市下水などを活性スラッジ法で処理してえられた余剰スラッジについて,アミノ酸組成を分析して,次のような結論をえた。なお,実験室的に大豆製油,発酵工場C,牛乳,酵母,葉緑素精製および生糸精練-染色工場よりの廃水を,活性スラッジ処理して,BOD, CODおよび浮遊物を90%以上除去することができた。
(1) 現状での廃水処理場よりえた余剰スラッジは,各廃水源の性質およびスラッジの処理法の違いなどを反映し,粗蛋白量10~50%,粗灰分20~55%程度であった。実験室的に廃水処理してえたスラッジは,廃水に土砂を含むこと少なく,微生物体の分離に無機塩などの凝集剤を使用しないため,粗蛋白量50~55%,粗灰分10%前後であった。
(2) 各スラッジのアミノ酸組成については,いずれも18種アミノ酸の総和量は粗蛋白中80~90%を占めるが,必須アミノ酸中methionine量は少なく,cystine量と合わせて粗蛋白中1.1~2.5%であり,現状の余剰スラッジ中にはlysineおよびtryptophan量の少ないものも認められた。なお,3種類のスラッジを通して,処理場より採試したものは実験室的に調製したものより,全般的にアミノ酸の変動は大きい。
(3) 活性スラッジ廃水処理が実施あるいは可能とされている種類のものについて,各産業の生産物,使用原料量,処理廃水量およびBOD量などから,余剰スラッジの国内生産可能量を算出した。そして,余剰スラッジが有望な蛋白質源,ことに飼料蛋白源となりうることを考察した。
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