1969 年 16 巻 9 号 p. 405-409
DEPCの新規な利用面を見出す目的で,適用上の基礎となる2, 3の条件因子について検討を加えた。
(1) DEPCの殺菌作用力は既往の文献と大体一致するが,Can. utilis, Ps. aeruginosa, Pen. thomii胞子について殺菌作用経過を検討し,いずれに対しても強力な作用をもっていることを明らかにした。
(2) 殺菌作用に対する温度の影響を0°~30℃の範囲で検討し,殺菌作用力の温度係数が加水分解速度のそれよりはるかに大きいことを認めた。
(3) 食塩などで調節した低aw環境ではDEPCの加水分解速度はほとんど変動はないが,殺菌作用力が増強する傾向が認められた。
(4) クエン酸塩,酢酸塩,リン酸塩,可溶性デン粉,ペプトンなどは,DEPCとの濃度比,pHなどによって影響をうけるが,著しく殺菌作用力を低下させる。