日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
牛肉エキス中の脂肪の表面分散因子に関する研究
山本 淳安井 浩
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1969 年 16 巻 9 号 p. 420-424

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抄録

(1) 牛肉エキスの世界的な生産の減少に伴って,酵母エキスをはじめとする種々の代替物がスープなどの原料に用いられているが,牛肉エキスと酵母エキスの温水溶液では,表面に浮遊した脂肪の分散に明確な差異が認められた。
(2) このような浮遊脂肪の表面分散の差異の原因を明らかにする目的で,両者のコロイド滴定を行なった結果,牛肉エキス中にのみ見出される正コロイドが浮遊牛脂の分散に重要な因子となっていることを知った。
(3) さらに,この正コロイドの役割を明確にする目的で,牛肉エキスを透折,強酸性イオン交換樹脂による吸着分別によって,正コロイド含有区分,非解離性高分子区分,低分子区分に分け,おのおのの浮遊脂肪の表面分散ならびに表面張力の測定を行なった結果,添加した牛脂の分散には正コロイドの影響がもっとも大きいことを確実に裏付けることができた。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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