日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
果実およびそ菜類のタンニン成分
(第6報)メチルセルローズによるタンニンの沈澱
中林 敏郎牧田 輝夫
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1971 年 18 巻 1 号 p. 28-32

詳細
抄録
メチルセルローズ(MC)がタンニンと結合沈澱する現象を検討した結果,
(1) 両者の結合は主として水素結合によって行われ,したがって沈澱生成は中性以下ではpHの影響をほとんど受けない。
(2) 沈澱生成はタンニンとMCの比率に支配され,タンニン1に対してMC2のときに除タンニン率は最高となり,MC量がそれより増減すると低下する。
(3) 除タンニン率は高温ほど低下し,共存物とくにアルコールの阻害が著しい。
(4) 各種の炭水化物やその誘導体のうちで,MCのみがとくに強い除タンニン能を示し,セルローズも若干タンニンを吸着した。
(5) MCは高分子のタンニンを沈澱せしめるが,低分子ポリフェノール化合物は沈澱しないので,果実やそ菜の抽出液からはMC処理でタンニンのみが,除去される。
著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top