抄録
メチルセルローズ(MC)がタンニンと結合沈澱する現象を検討した結果,
(1) 両者の結合は主として水素結合によって行われ,したがって沈澱生成は中性以下ではpHの影響をほとんど受けない。
(2) 沈澱生成はタンニンとMCの比率に支配され,タンニン1に対してMC2のときに除タンニン率は最高となり,MC量がそれより増減すると低下する。
(3) 除タンニン率は高温ほど低下し,共存物とくにアルコールの阻害が著しい。
(4) 各種の炭水化物やその誘導体のうちで,MCのみがとくに強い除タンニン能を示し,セルローズも若干タンニンを吸着した。
(5) MCは高分子のタンニンを沈澱せしめるが,低分子ポリフェノール化合物は沈澱しないので,果実やそ菜の抽出液からはMC処理でタンニンのみが,除去される。