日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
放射線照射ジャガイモのかっ変現象に関する研究
オキシダーゼとペルオキシダーゼ活性におよぼす照射時期の影響
辰巳 保夫茶珍 和雄緒方 邦安
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1972 年 19 巻 11 号 p. 508-513

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抄録
(1) 収穫直後のジャガイモに抵線量のγ線を照射すると,照射後オルトジフェノール含量の増加がみられ,この増大は皮層部,維管束部で著しかった。還元型アスコルビン酸は照射によって減少し,その減少量は皮層部,維管束部で多かった。
(2) ポリフェノールオキシダーゼ活性は照射することにょって増大し,皮層部でその増大が著しい。ペルオキシダーゼも同様活性が増加し,維管束部での増加が多かった。
(3) 上述の化学的成分と酵素活性の変化と照射時期との関係についてみると,かっ変が発生する時期のものでは照射によってオルトジフェノール含量が増加し,一方還元型アスコルビン酸含量が減少した。またポリフェノールオキシダーゼ,ペルオキシダーゼの活性も増大することが明らかになった。かっ変が発生しなくなる時期のものでは照射後のオルトジフェノール増加や還元型アスコルビン酸の減少がほとんどみられず,また酵素活性もほとんど増大しなかった。
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