1972 年 19 巻 2 号 p. 81-83
水溶性と不溶性のポリビニールピロリドン(PVP)のタンニンに対する反応性を比較するために,まず水溶性のPVPsによるタンニンの沈澱を検討した結果,
(1) 沈澱生成は中性以下のpHでよく行なわれアルカリ側で急減する。硼酸イオン,芒硝,エタノールの存在は著しく阻害し,また高温ほど低下する。
(2) 除タンニン率はタンニンとPVPsの濃度比によつて定まり,タンニン酸に対してPVPs 2.9のときに最高となり,それよりPVPs量が増えると急激に低下する。
(3) PVPsは高分子タンニンのみをよく沈澱するので,タンニン抽出液をPVPsで処理すると低分子ポリフェノールが残留する。
(4) PVPsとタンニンとの反応はメチルセルローズの場合とよく類似している。