1972 年 19 巻 9 号 p. 429-437
(1) トマト品種'ファイアボール'を用い,砂耕で,トマト果実のNO3-N濃度におよぼす培養液のNO3-N, P, K, Ca, Mg濃度の影響を検討した。
(2) 一般に培養液のNO3-N濃度が増加するに伴い,あるいはCa濃度が低下するに伴い果実のNO3-N濃度は増加するが,K濃度が低下するに従って果実のNO3-N濃度は低下した。
(3) 培養液のK濃度が極端に低濃度になると,培地のNO3-N濃度が高くても果実のNO3-N濃度は低くなり,培養液のNO3-N濃度の影響はK濃度に左右される傾向が認められた。
(4) 培養液にNO3-NとKが十分存在するときにはCa濃度を高めても果実のNO3-N濃度は著しくは低下しないが,NO3-NあるいはKのどちらかが低濃度の場合にはCa濃度を高めることにより,果実のNO3-N濃度は著しく低下した。
(5) 培養液のPおよびMg濃度の影響は明らかな傾向が得られなかった。