1973 年 20 巻 5 号 p. 175-181
ショ糖,エチレングリコール,グリセリンによる大豆蛋白質の安定化について検討した。その結果,低イオン強度(0.1)ではその効果が少なかったが,高イオン強度(0.5)では,水抽出蛋白質の酸凝集に対して20%ショ糖>20%グリセリン>20%エチレングリコールの順に,その凝集阻止効果が認められ,とくにショ糖の効果が著るしかった。また,水抽出蛋白質の酸性領域での加熱凝集(80℃, 30分)に対して20%ショ糖がかなりの阻止効果を示した。
アルカリ領域における11S成分の7Sへの解離が20%ショ糖添加により押さえられたが,酸性領域での3Sへの解離に対してはその効果がみられず,むしろ解離後の再重合が押さえられた。また,紫外吸収差スペクトルにより,ショ糖添加が11S成分の三次構造的酸変性をかなりの程度に保護した。