日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
テクスチュロメーターによるスパゲティのテクスチャー測定と包装スパゲティの処理中のテクスチャー変化
山野 善正山下 哲男福井 義明
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1973 年 20 巻 5 号 p. 208-213

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抄録
スパゲティのゆで時間によるテクスチャーの変化,およびゆでたスパゲティを包装・加熱殺菌したもののテクスチャーをテクスチュロメーターで測定したところ,次のような結果が得られた。
(1) ゆでたスパゲティのテクスチャーはテクスチュロメーターで測定できる。特性カープには,付着性は現われず,弾力性のばらつきは大きいが,硬さ,凝集性およびガム性は測定数を10とすることにより有効なパラメーターとなる。
(2) 硬さおよびガム性は,ゆで時間の増加とともに双曲線的に減少し,その減少がかなりゆるやかになるところが商品指示ゆで時間に一致している。また凝集性は,ゆで時間にかかわらずほぼ一定値を示す。
(3) 両対数で表わした,ゆで時間-硬さ,ガム性の関係は直線となり,この直線の勾配,縦軸截片は,異なるスパゲティのゆで時間によるテクスチャー変化の指標となり得ることが示唆される。
(4) 適正ゆで時間と考えられる時間だけゆで,フィルム包装し,加熱殺菌したスパゲティの硬さ,凝集性およびガム性は,同時間ゆでただけのものより大きい値を示すが,12分ゆでたものについてみると,20日間室温保存した結果,115℃30分,120℃20分および30分殺菌のもの(すなわち高温で短時間殺菌したもの)が,同時間ゆでただけのものの値に近く,かつ値の変動が小さく安定性を示した。
(5) 包装スパゲティの硬さ,ガム性も,ゆで時間の増加とともに減少する傾向にある。テクスチュロメーターによる測定値が包装・保存における最適テクスチャー保持条件を予知するのに役立つと考えられる。また,ゆで時間と殺菌条件の最適条件を得るためには,これらのバラメーターと製造上の経済性を考慮して,それぞれのスパゲティーに適当な組合せを選べばよい。
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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