日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
凍豆腐のもや短縮に関する研究
橋詰 和宗岩根 隆生渡辺 篤二
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1974 年 21 巻 4 号 p. 146-150

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抄録
凍豆腐の製造工程において2~3週間の長期間のもやが行なわれるが,これを短縮する方法について検討した。
豆乳の加熱に窒素を吹込むとSH基の減少はおさえられ,酸素を吹込むことによりSH基は減少する。もやによる豆腐の弾力性の増加はSH基の多い豆乳から作ったものが大きく,SH基の少ない豆乳から作ったものは小さかった。
メルカプトエタノール,亜硫酸ソーダなどのS-S還元剤を豆乳に10-3M程度加えて豆腐を作るともや短縮に著しい効果があった。また6倍加水の濃厚状態で加熱して得た豆乳から作った豆腐ももや短縮に効果があった。しかし実用化の面からは,亜硫酸の添加が多すぎること,濃厚加熱ではきめのよい豆腐ができないことなどから,実際の使用は不可能である。
凍豆腐のもやによるスポンジ化は蛋白質のSH, S-S交換反応が大きく関与しているので,凍豆腐の凍結前の工程でSH基の酸化などによる減少を防ぎ,蛋白質のSH基が多い豆腐を作ることが,凍結中のSH, S-S交換反応を起こりやすくし,もやの短縮と同時に弾力ある凍豆腐を作ることができる。
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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