日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
クリの成分と加工法に関する研究
(第10報)天然色素のクリ甘露煮への利用
真部 孝明別所 康守児玉 雅信
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1974 年 21 巻 4 号 p. 156-160

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抄録
クリ甘露煮製造に食用黄色4号とともに市販黄色系天然色素(カーサミンイエロー,クチナシ抽出液,リボフラビンおよびクルクミン)による着色を試みるために,まず透明アンプルによるモデル試験を行い,ついでクリ甘露煮びん詰製造に用いて着色の適性の可否を検討した。
(1) 明所での水溶液による透明アンプル試験では,供試黄色系天然色素はいずれも食用黄色4号より不安定であったが,天然色素のうちではクチナシ抽出液が最も安定で明バン添加によって安定性が増した。クルクミンおよびカーサミンイエローはアスコルビン酸によして無添加より色素の残存が多かったが,リボフラビンはいずれの場合もきわめて不安定であった。
(2) クリ甘露煮びん詰製造に上記色素を用いたところ,クリ果肉の色調の残存,果肉への浸透性,果肉とシラップの吸光度の比率および色調変化などからクチナシ抽出液とクルクミンが他の色素よりもすぐれており,両者は黄色4号に劣らぬ着色効果のあることがわかった。
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