日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
缶詰の缶内面硫化黒変に関する研究
(第1報) アスパラガス中の腐食因子について
竹内 伊公子長田 博光大塚 滋
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1974 年 21 巻 7 号 p. 329-335

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抄録

(1) ホワイトアスパラガスのエキス中の腐食因子および黒変因子は,陽イオン交換樹脂に吸着されないで,陰イオン交換樹脂に吸着する区分に大部分が存在する。陰イオン交換樹脂に吸着しない1部の腐食因子はエーテルには溶けない。陰イオン交換樹脂に吸着する腐食因子および1部の黒変因子はエーテルにかなり溶け出す。
(2) 陰イオン交換樹脂に吸着した酸性区分は,ゆるやかな条件の部分加水分解で,容易にグルタミン酸,酒石酸およびクエン酸などを遊離する。
(3) アスパラガス缶詰の缶内面腐食因子(スズ溶出型の腐食因子および黒変因子)は既知のいわゆる「腐食因子」,遊離のシスチンやシステイン,有機酸,硝酸塩あるいはアントシアン色素などではなく,また,単一な物質でもないと考えられる。腐食因子のうち,少くとも1つはグルタミン酸,有機酸あるいは炭水化物がゆるやかに結合した化合物であると考えられる。

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