抄録
4段階(10, 15, 20, 25%)のパルプ質含量を有する温州ミカン果汁を噴霧乾燥して得た果汁粉末の水分吸着特性を検討し,つぎの結果を得た。
(1) 平衡水分量は,低い相対湿度領域では少なく,高い相対湿度領域で著しく増大する傾向にあった。また,平衡水分量は,果汁のパルプ質含量が少ないほど,多いことが認められた。
(2) 平衡水分量に達するまでに要する時間は,果汁のパルプ質含量が多いほど,長いことが認められた。
(3) 果汁のパルプ質含量が少ないほど,BET法で求めた単分子吸着水分量(4.8~6.1%),吸着表面積(171~220mm2/g),吸着熱(1525~1959cal/mol)が大きく,単分子吸着水分量に対する平衡相対湿度(19.0~23.9%)が低いことが認められた。
(4) 微分吸着熱は,少ない平衡水分量で,すでに水の凝縮熱に近づいていた。