1975 年 22 巻 7 号 p. 337-342
温州ミカン果汁の加熱に伴う異臭生成について,低沸点物質をヘッドスペースガスでのガスクロマトグラフィーによって検討した。その結果,ガスクロマトグラムにおけるジメチルサルファイドのピークの挙動が異臭生成と密接な関係があった。
(1) ジメチルサルファイドの加熱による生成は,脱皮果汁ではほとんどなかったが,じょうのうおよびアルベド添加で急増した。
(2) pHが3.5以上になると生成量が増大し,pHの高いミカン果汁に起り易いことを認めた。
(3) ジメチルサルファイドは,蒸溜水や脱皮果汁では揮発性が高かったが,じょうのうやアルベドの入った果汁では,約1/2に抑制された。
(4) 脱皮果汁を加熱しても,ヘッドスペースガス中のジメチルサルファイドは0.08ppm程度であったが,アルベドを添加したものでは,0.7~0.8ppmに達した。異臭は0.2ppm以上で感じた。