日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
温州ミカン果汁の加熱に伴う低沸点成分の変化と異臭生成との関連について
真部 孝明
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1975 年 22 巻 7 号 p. 337-342

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抄録

温州ミカン果汁の加熱に伴う異臭生成について,低沸点物質をヘッドスペースガスでのガスクロマトグラフィーによって検討した。その結果,ガスクロマトグラムにおけるジメチルサルファイドのピークの挙動が異臭生成と密接な関係があった。
(1) ジメチルサルファイドの加熱による生成は,脱皮果汁ではほとんどなかったが,じょうのうおよびアルベド添加で急増した。
(2) pHが3.5以上になると生成量が増大し,pHの高いミカン果汁に起り易いことを認めた。
(3) ジメチルサルファイドは,蒸溜水や脱皮果汁では揮発性が高かったが,じょうのうやアルベドの入った果汁では,約1/2に抑制された。
(4) 脱皮果汁を加熱しても,ヘッドスペースガス中のジメチルサルファイドは0.08ppm程度であったが,アルベドを添加したものでは,0.7~0.8ppmに達した。異臭は0.2ppm以上で感じた。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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