日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
バナナ果実の追熟加工条件の検討
緒方 邦安寺井 弘交
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1979 年 26 巻 5 号 p. 199-203

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抄録

本研究はバナナ果実の品質の一つである果皮色の追熟に伴う変化を色調ならびに色素含量の両面から考察し,市場におけるバナナ果実の品質を季節変化との関連から調査するとともに,果皮と果肉の熟度の相判った品質良好な追熟バナナ果実を生産するための追熟処理法を検討したものである。
(1) エチレン処理によりバナナ果実の追熟を促進すると,果皮色の黄化現象がみられるが,これはカロチノイドの含量が増加するためでなく,緑熟果実の果皮中に含まれていたカロチノイドがクロロフィルの退色に伴い,現われることによるものであることが示された。
(2) 大型スーパーマーケットより夏期から冬期にかけ黄色バナナ果実を購入し,品質を調査した結果,果皮色は季節による大きな差異が認められなかったのに対し,果肉の糖分量は外気温の低下に伴い減少することが明らかにされた。
(3) バナナ果実の追熟中の短期間(約1日)の30℃への昇温は果皮の熟度より果肉の熟度の進行に効果があり,糖含量の増加をもたらした。また20℃で追熟したものは15℃で追熟したものに比べ糧含量の高いことをを認めた。
(4) 追熟がやや進行し,黄化を始めたcolor score 4程度の段階の果実を30℃に一時昇温することにより果肉の品質をより改善することができるところから,この果実について食味テストを行ない,芳香,甘味ともに良好な評点を得た。また常に20℃で追熟した果実も15℃で追熟した果実より比較的良好な評点が得られた。

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