日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
酸性溶液中におけるアントシアニン色素および関連化合物の安定性について
太田 英明芥田 三郎筬島 豊
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1980 年 27 巻 2 号 p. 81-85

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抄録

アントシアニン色素の化学構造と安定性との関連を明らかにするために,アントシアニン色素4種類および合成フラビリウム塩13種類を用い, 0.2M酒石酸ナトリウム-酒石酸緩衝液(pH2.5~4.5)中で色素の安定性に及ぼす置換基の効果を系統的に検討し,より安定な色素の検索を行なった。
(1) 供試した17種類のフラビリウム塩のpK値(平衡定数)を分光学的に求めた。
(2) ベンゾピリウム環7位への水酸基の導入は色素分子の安定化に大きく貢献し, 3位への水酸基の導入は逆に色素分子を著しく不安定化した。
(3) B環(3', 4'および5'位)への水酸基の増加が色素分子を不安定にすることからdelphinidin系色素などB環に隣接水酸基を有するアントシアニン色素が安定性に欠けると示唆された。
(4) B環へのメトキシル基の導入が色素分子を安定化することを明示すると共に, peonidin系色素(メトキシル基1個)よりもmalvidin系色素(メトキシル基2個)が安定性に富むことを認めた。

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