日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
低温放射線重合法により固定したフマラーゼの性質とL-リンゴ酸の連続生成への利用
田中 芳一林 徹川嶋 浩二
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1981 年 28 巻 1 号 p. 14-19

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抄録
低温放射線重合法により固定化したフマラーゼの諸性質を検討した。L-リンゴ酸に対するミカエリス定数Kmは,固定化により4.6倍に増加した。一方,フマル酸に対するそれは20倍を示した。平衡定数Keqは固定化により,それほど大きな変化はなかった。L-リンゴ酸に対する固定化フマラーゼの至適温度は,低下する傾向にあった。固定化フマラーゼの熱安定性は,nativeフマラーゼよりも高かった。また,固定化フマラーゼは酸性域で活性を維持した。
この固定化フマラーゼ(13.6g wet)をカラム(φ9×250mm)に充填し,40~1000mMフマル酸(pH 7.5)を流したところ,L-リンゴ酸を連続的に生成した。反応温度25℃,液速0.47hr-1 (S.V.)で1000mMフマル酸からL-リンゴ酸への転換率は,およそ50%であった。また,液速を遅くするとみかけのKm値が増加した。基質を高濃度にすると生成量が低下したが,これは酵素ビーズが収縮したためと推定した。液速0.47hr-1,25℃にて120日間,このカラムを常時反応させることにより,L-リンゴ酸への転換率は初期の約78%に低下した。
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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