日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
グアバ果実の成熟・追熟並びに貯蔵中におけるペクチン,アスコルビン酸,ペクチン関連酵素及びセルラーゼ活性の変化について
ゴーラム モーラ伊藤 三郎
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1983 年 30 巻 8 号 p. 454-461

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抄録

グアバの白色及び桃色2品種について成熟・追熟並び貯蔵中における化学的変化,ペクチン関連酵素及びセルラーゼの変化を調べた。
1. グアバ果実中の全ペクチン量は両品種共に成熟時では345.9-396.1mg%,追熟時では704.7-804.0mg%であった。なお,成熟及び追熟果におけるペクチンの主成分はプロトペクチン及び可溶性ペクチンであった。
2. アルコール不溶物量及び酸度は成熟・追熟並びに貯蔵中に減少した。一方, pHは白色種では4.20から5.00,桃色種では4.00から5.20に上昇した。
3. グアバ果実のポリガラクチュロナーゼ及びセルラーゼの最適pHは各々5.5及び6.0であった。ポリガラクチュロナーゼ活性は追熟及び貯蔵中に著しく増加した。ペクチンエステラーゼ及びセルラーゼは未熟果では,その活性はわずかであったが,成熟及び追熟中に増加した。
4. 未熟果から完熟果へと樹上で成育中にアスコルビン酸含量は次第に増加を示した。その後20℃で10日間貯蔵したところ,全アスコルビン酸,還元型および酸化型アスコルビン酸量は白肉種では各々149.9-273.5,126.7-224.0及び23.3-49.5mg%,桃色種では各々166.5-270.3, 146.2-203.8及び26.4-66.5mg%となり,著しく増加することを見出した。このビタミンC含量の増加は,貯蔵中に果実が老化,腐敗を生ずるまで続くことが認められた。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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