抄録
胚乳細胞壁の部分々解が,米の炊飯性および米飯のテクスチャーに及ぼす影響を,2種の酵素標品(Streptomyces sp. E-86の精製キシラナーゼおよびAspergillus japonicusの粗酵素)を用いて検討した。テクスチュロメーターによる測定から,細胞壁の部分々解により米飯は柔かくなり,また,粘りが増すことが明らかとなった。酵素処理した米粒は過剰の水の存在下では,未処理のものに比べ,膨潤の程度が大きかった。また,この酵素処理は精白米粉未のアミログラムの粘度を低下させたが,これは老化過程でとくに著しかった。精製エンドキシラナーゼは単独で上記のような効果を示したが,このことは胚乳細胞壁の物理的性質にとって,ヘミセルロース多糖が重要な意義をもっていることを示唆している。