日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
差スペクトル法による温州ミカンのアスコルビン酸酸化酵素活性の測定
差スペクトルに基礎を置く分光測光法によるアスコルビン酸の定量(第4報)
東野 哲三藤田 修二
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1984 年 31 巻 4 号 p. 248-253

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抄録

差スペクトルに基礎を置くアスコルビン酸酸化酵素(AAO)の活性測定法を設定するに先だち,ミカンAAO活性に及ぼす温度,pH等の影響を調べた。ミカンAAOは30~35℃において活性が高く,50℃以下では安定であったが,それ以上では不安定となり70℃で失活した。pHについては5.5附近に最高値がみられ,pH 5~9と比較的広いpH域で安定であった。これらの結果に基づき,DS法によるAAO活性の測定条件を検討した。その結果,比較的低い濃度範囲では,AAO濃度とAsAの酸化速度(ΔE243/5min)との間に直線的関係の成立することが確められ,この関係を用いてAAO活性を正確に測定しうることが認められた。この活性測定法により発育中の温州ミカンの果皮のAAO活性値を測定したところ,それは発育初期には著しく高かったが,それ以降急速に低下することが見出された。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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