日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
凍結乾燥大豆タンパク質の湿度と温度を利用したゲル化とそのテクスチャーについて
星 祐二山内 文男
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1984 年 31 巻 4 号 p. 263-271

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抄録

凍結乾燥大豆タンパク質を相対湿度96%,50℃で保存して吸湿させ,更に保存後吸湿したタンパク質にリン酸緩衝液を加えることによってゲル化させることができた。
得られたゲルのテクスチャーを機械的測定によって検討した。ゲルを調製する際にイオン強度0.5のリン酸緩衝液を用いた場合,吸湿後1日目で7Sグロブリンはゲル化し,酸沈殿タンパク質(APP)は3日目で,11Sグロブリンは5日目でゲル化した。イオン強度0.01と0.1のリン酸緩衝液を用いると,APPと7Sグロブリンのゲル化は抑制されたが,イオン強度0.1で11Sグロブリンのゲル化が促進された。吸湿法によるゲルを90℃,30分間加熱するとゲルの硬さは未加熱の4~15倍に増加し,また加熱だけによるゲルよりも硬いゲルが得られた。また吸湿によって得られたゲルの微細構造を走査型電子顕微鏡を用いて検討した。

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