1984 年 31 巻 4 号 p. 272-277
火入れを施こさない乾のり(水分9.1%)中のクロロフィル,アスコルビン酸は,-20℃,-50℃において良好に保持され,その貯蔵安定性は火入れ処理により水分3~5%程度に乾燥した乾のり中に存在する場合に相当することが明らかとなった。-50℃まで貯蔵温度を下げても,安定性はそれほど改善されず,-20℃で充分であった。窒素置換包装も色素の分解抑制に有効であったが,低温貯蔵下では実用的な意味はあまり認められなかった。アスコルビン酸の保持のためにも低温貯蔵が有効であったが,水分3.0%の試料を-50℃に貯蔵した場合でも,11ヵ月後に約13%の分解が認められた。30℃貯蔵区のアスコルビン酸の保持には窒素置換包装が非常に効果的であった。