1984 年 31 巻 5 号 p. 360-363
中種法食パンの発酵条件を直交表L8(27)に基づいて実験の割り付はを行ない,製品のpH, T.T.A.,比容積,残存糖量に与える4つの工程要因(中種捏上温度,中種発酵時間,本捏捏上温度,フロアタイム)の効果を検討した。
(1) 製品のpHは中種発酵時間が長く,中種捏上温度が高い方が低下するが,本捏捏上温度,フロアタイムの影響はうけなかった。
(2) 製品のT.T.A.は中種発酵時間,中種捏上温度,本捏捏上温度の順で影響をうけ,フロアタイムの影響はうけなかった。発酵時間は長く,温度は高い方がT.T.A.は増加した。
(3) 製品の比容積に対して,各工程要因の効果は認められなかった。
(4) 製品の残存総糖量は中種工程の影響をうけ,中種捏上温度が低く,中種発酵時間は短い方が多く残存した。本捏捏上温度,フロアタイムの影響はうけなかった。
(5) 中種法食パンにおいては,製造工程の後半において生地の変化が少なく,安定している。このことは中種法が大量機械化生産に適した製法であることを示唆していると考えられる。