1985 年 32 巻 10 号 p. 710-717
キュウリピクルスに無機成分を加え,果肉のテクスチャーやペクチンへの影響について検討した。
(1) カルシウム単用区ではカルシウム添加量に伴って果肉硬度は増大した。カルシウム-カリウム,カルシウム-マグネシウム併用区はカルシウム単用区に比べて硬度が増大することはなかった。カルシウム-アルミニウム併用区では,無機成分を加えないキュウリピクルスと同じ硬度を示し,アルミニウムはカルシウム添加の効果を抑制した。
(2) AIS中のカルシウム量は,カルシウム単用区では添加量の増加に伴って増加した。また,カルシウム-カリウム,カルシウム-マグネシウム併用区では,カルシウム単用区と同じカルシウム添加量であれば,ほぼ同じ含量を示した。しかし,カルシウム-アルミニウム併用区では他の区に比べて低い値を示した。
(3) AIS中のペクチンは,WSPとHSPはいずれの区においても非常に少なかった。しかし,PSPはいずれの区も高い値を示し,特にカルシウム-アルミニウム併用区では顕著であった。SSPはPSPに比べてカルシウム-アルミニウム併用区ではかなり低い値を示したが,その他の区では高い値を示した。