抄録
ナリンギナーゼの力価の測定で,反応後の基質(ナリンギン)の減少量をHPLC法とDAVIS変法とで定量し比較した。
(1) DARIS変法の呈色では,ナリンギンの他,反応中間体であるプルニン及び反応生成物であるナリンゲニンが同時に発色し,正確な力価の測定はできなかった。ナリンゲニンは標準溶液による補正が,又プルニンは岡田のDAVIS変法により存在比を算出し補正をすることが可能であったが,いずれの場合も複雑な操作を必要とした。
(2) HPLC法は反応後のナリンギン,プルニン及びナリンゲニンの分離定量が可能であり,ナリンギナーゼの本質であるα-ラムノシターゼの力価を容易に,かつ正確に測定することができた。
従って著者らは,ナリンギナーゼ力価の測定におけるナリンギン減少量の定量には,HPLC法が最も適していると結論した。