抄録
カキ'平核無'果実を樹上でエタノール蒸気処理すると迅速に脱渋し,3週間で果肉全体に褐斑を発生した。しかし,処理直後採取して1℃に貯蔵した果実では褐斑の発生はみられなかった。そこで樹上での褐斑発生とポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性との関係をみるため,まず果肉のアセトン粉末より調整した粗酵素液の性質を若干検討した。カキのPPO活性は5°でよりも24℃で抽出した方がはるかに高く,また,用いた5つの基質のうちでは4-メチルカテコールが最も早く酸化された。エタノール処理果実のPPO活性はヘタ付近の果肉に褐斑が現われ始める脱渋1週間後に急上昇し,褐斑が果肉全体に及ぶ期間中高い値を示した。