日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
高速液体クロマトグラフィーによるメークインジャガイモのα-チャコニン及びα-ソラニンの測定法
ジャガイモのグリコアルカロイドに関する研究(第1報)
小机 信行水野 進
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1986 年 33 巻 4 号 p. 232-237

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抄録

高速液体クロマトグラフィーによるジャガイモのグリコアルカロイド(PGA)の測定法を検討した.
(1) ジャガイモよりPGAをクロロホルム:メタノール(2:1, v/v)で抽出した.HPLCの条件は,充填剤としてNucleosil NH2 (10μm)を4.0mm I.D.×15cmと4.0mm I.D.×25cmのステンレスカラム管にパックし,それを直列に連結した.溶離液はテトラヒドロフラン:0.025Mリン酸一カリウム緩衝液・アセトニトリル(50:25:25, v/v)を使用し,検出波長を208nm,流速を1ml/mimとした.
(2) 本法よりα-チャコニンは7.4分,α-ソラニンは11.4分後に溶出し,2者は完全に分解することがわかった。また1分析するのに15分以内で完了し,本法がPGAを分析するのに良い方法であることを知った.
(3) PGAの回収率を調べたところ,α-チャコニンは96.8%,α-ソラニンは89.8%であった.また両物質の熱安定性については,150℃までは比較的安定であったが,180℃以上になると分解が起った.
(4) ジャガイモを3部位に分け,さらにそれぞれの部位における皮層部,髄質部のα-チャコニン及びα-ソラニンを測定したところ,両物質は皮層部に多く偏在し,α-チャコニンはα-ソラニンよりも約1.5~2.0倍多かった.また両含量は基部及び頂部の皮層部に多く,中央部は両端部よりも少なかった.なお髄質部は極端に少なく,ことにα-ソラニンは痕跡程度であった.

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