日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
干し椎茸の水もどしに関する一考察
青柳 康夫菅原 龍幸
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 33 巻 4 号 p. 244-249

詳細
抄録

干し椎茸の水もどしと加熱調理において,浸漬水温と浸漬時間が吸水量,褐変化ならびにRNA量と5'-GMPの消長に及ぼす影響を検討し次の結果を得た.
(1) 干し椎茸の水もどしに要する時間は水温が高くなるほど,また菌傘が薄い程短くなる傾向にあり,平均して5℃で4時間,25℃で2.5時間で最大吸水量の90%に達する.
(2) 高温での水もどしは吸水量の減少やもどし汁の褐変を進行させる.
(3) 水もどしによりRNA量は経時的に減少し,水温が高くなる程減少の程度は著しい.(4) 水もどし中の5'-GMP量は低レベルであり,40℃以下の水もどしでは減少する.
(5) 水もどし後の加熱調理により,RNA量は減少し,5'-GMP量は増加するが,長時間の水もどしや,高温での水もどしでは5'-GMPの増加が小さくなるか,ほとんどなくなる.
以上の結果より干し椎茸の水もどしに好ましい条件として,低温か室温で必要な軟化を示す最少時間もどすことが適していると考察した.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top