1986 年 33 巻 4 号 p. 270-273
廃糖蜜を担子菌の生育菌体で脱色処理する場合,担子菌中のPPOによる着色があった.廃糖蜜をPVPP処理し,PPOの基質となるポリフェノールを除くことにより,ほとんどの菌で,初期の着色現象なしに脱色させることが出来た.PVPP処理廃糖蜜にたいして高脱色能を有する担子菌としては,Coriolus versicolor IFO 4937(脱色率,84.4%), Coriolus hirsutus IFO 4917 (81.8%),Lenzites betulina IFO 6266 (80.6%)等が挙げられたが,これらの菌はいずれもスクロースを資化するTypeの菌であった.スクロースを消費せずに廃糖蜜を脱色する担子菌の一つの指標としてS/A値を導入した.その値に基づいて優良担子菌を選抜すると,グルコースのみを資化するTypeに属するPleurotus ostreatus IFO 6519 (S/A値18.56), Oxyporus populinus TMI 50016 (17.08)が優良菌株として挙げられた.